Unreal Engine 5とは、Unityに迫りつつある3D制作に強いゲームエンジンです。
昨今話題のパルワールドもこの前身となるUnreal Engine 4を用いて開発されていたり、Unreal Engineの開発元のEpicのゲームである「FORTNITE」や、有名RPGシリーズのドラゴンクエストの1つの「ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎」はUnreal Engine 5をゲームエンジンとして開発されているなど、Unreal Engineはしばしば取り上げられるゲームエンジンです。
Unreal Engine 5公式より引用
Unreal Engineの特長は3Dゲーム制作に長け、美しいグラフィックを作るのに最適なゲームエンジンであることです。
具体的には、アセット(Unreal Engineに搭載されているテンプレートのようなもの)が豊富にあり、それが使用し放題である点です。
また、ゲームエンジン内ではマテリアル(テクスチャのようなもの)は実際に撮影されたもので、デフォルトでも決して侮れない品質です。
このページでは、そのUnreal Engine 5を動かすのに最低限必要な最低スペックおよび快適に使うのに必要な推奨スペックを紹介します。加えて、それぞれのスペック相当のPCを紹介します。
前世代の「Unreal Engine 4」についてはこちらで紹介しています。
デスクトップ or ノート
パソコンには主にデスクトップPCとノートPCの2種類があります。
ノートPCは小型で使いまわしやすいことが特徴で、デスクトップPCは持ち運ぶことは難しいですが高性能であるおとが多いです。
Unreal Engine 5を動かすためには性能が高いPCが要求されますので、基本的にデスクトップPCを推奨します。本ページで紹介するPCもすべてデスクトップPCとなります。
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Unreal Engine 5に必要なスペック
いよいよ本題に入ります。
公式ドキュメントによる必要スペック
Unreal Engine 5の公式のドキュメントによると、推奨ハードウェアは次のようになっています。
これではどんな性能のパソコンを買えばいいのかPC初心者の人にはわかりにくい上に、よく読んでみるとこれではUnreal Engine 5を快適に動作しにくいスペックにもなりえます。
翻訳するとこのような感じになります。
ただ、これでも分かりにくさが残ります。また、この推奨ハードウェアのリストは本当に最低限使うための性能に過ぎず、「最低スペック」すら下回っているといえるでしょう。
現実的な問題として、この性能のPCではゲーム開発どころか画像編集や4Kドラマ視聴などより基礎的なこともままなりません。この性能と同程度の古いPCを持っていますが、正直なところUnreal Engine 5はなんとか起動できるだけでやってられません。
サンプル「Valley of the Ancient」を動作させるのに必要なスペック
これはUnreal Engine 5の開発者向けに提供されているサンプルの1つ「Valley of the Ancient」です。サンプルですがゲームと遜色ないクオリティであり、実際にどのようなゲームができるのかイメージするにはうってつけです。
このサンプルを動作させるのに必要なスペックは以下の通りです。文章量が多くなってしまうため翻訳済みです。
Valley of the Ancientは次世代の高性能PCを見据えて作成されたサンプルのため、要求する性能が非常に高くなっています。個人開発においてはここまで大規模のゲームを作成する予定がない限り、この性能は不要です。
これらの構成はかなり性能が高いため、これらは「推奨スペック」を超えています。
特に、64GBのRAMは不要で、32GBでも十分に対応できます。
Epicが開発時に使用しているスペック
Epicが実際に開発時に使用しているスペックを見ると
こちらはUnreal Engine 5を使うのに十分なスペックではあります。しかし、パーツがやや古い上、企業向けであります。そのため、ちょっとガジェットに詳しくないと正直今発売されているパーツと比べるのは難しいです。
そのため、ここでは上記リストを踏まえた上で、Unreal Engine 5を使うための「最低スペック」「必要スペック」「推奨スペック」を紹介します。
PCを買う際に大事な要素
PCを買う際に大事な要素は、
「CPU」「GPU」「メモリ」「ストレージ」
の4つのパーツになります。実際はもっと多くのパーツがあるのですが、複雑になってしまうのでここでは触れません。
当然おすすめPCはこの4つ以外のパーツも一定の質が確保されているものを選びましたのでご安心ください。
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CPU
CPUは主に計算を担当し、人間でいうと脳みそのようにパソコンの各パーツに指令を出す大変重要なパーツで、あまりスペックを落とせないパーツです。
CPUで着目するべきは「シリーズ」(Core i 〇やRyzen 〇のところ)と「世代」です。
一般向けパソコンのCPUは「Intel Core i」「AMD Ryzen」で二極化しています。
おすすめはIntel Core i5以上、AMD Ryzen 5以上のCPUです。
これらのCPUは性能を左右する「コア」が10個以上あり、パフォーマンスが高く十分な演算処理性能を持ちます。
次に、「世代」というのはそのCPUがシリーズの何代目にあたるかを表す数字です。
この世代に関しては、最新世代か、1つ前の世代のCPUがおすすめです。新しい世代であればパーツが市場に多く存在する上、単純に性能が一番高くなるためです。
《推奨スペック》
Intel Core i5以上、Ryzen 5以上
世代は「最新」か「1つ前」
《最低スペック》
Core i5 or Ryzen 5
なお、「世代」や「シリーズ」など、CPUに関する細かい用語はこちらで詳しく紹介しています。ぜひご確認ください。
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GPU
「グラフィックボード」「グラボ」といわれます。
GPUは主に3Dグラフィックや映像の処理を担当します。
Unreal Engine 5は美しいグラフィックが特徴のひとつなので、もちろんGPUの負担が重くなります。そのため、グラフィックを処理をするGPUにはこだわりをもつのがおすすめです。
GPUにも性能を判別する方法があるのですが、ここは思い切って値段と「VRAM」の2つだけを考えます。
Unreal Engine 5が快適に使えるGPUは基本的に7万円以上するものと考えていいでしょう。基本的に、GPUの値段が高いほどGPUの性能は高くなるのでこの認識で大丈夫です。最低スペックはおよそ5万円程度のGPUになります。
VRAMというのは、映像出力に特化したメモリです。つまり、グラフィックボードの処理のためだけに使われるもので、単純にVRAMが大きいほど性能が良い傾向があります。
このVRAMは推奨は8GB以上です。最低でも6GBは欲しい所です。
以下に一般的に市販されているすべてのGPUの中でUnreal Engine 5に立ち向かえる性能のGPUを一覧にしてまとめました。
総評 | 名称 | VRAM |
★ | RTX 4090 | 24GB |
★ | RTX 4080 SUPER | 16GB |
★ | RTX 4080 | 16GB |
★ | RTX 4070 Ti SUPER | 16GB |
◎ | RTX 4070 Ti | 12GB |
◎ | RTX 4070 SUPER | 12GB |
★ | RTX 3090 Ti | 24GB |
◎ | RTX 3080 Ti | 12GB |
◎ | RTX 4070 | 12GB |
◎ | RTX 3090 | 24GB |
◎ | RTX 3080 12GB | 12GB |
◎ | RTX 3080 | 10GB |
○ | RTX 3070 Ti | 8GB |
◎ | RTX 4060 Ti 16GB | 16GB |
○ | RTX 4060 Ti | 8GB |
△ | RTX 3070 | 8GB |
○ | RTX 2080 Ti | 11GB |
△ | RTX 3060 Ti | 8GB |
△ | RTX 4060 | 8GB |
○ | RTX 2080 SUPER | 8GB |
△ | RTX 2080 | 8GB |
※値段は時期によって変わります
上のリストでいう総評の詳しい説明は以下の通りです。
【★】・・・Unreal Engine 5で4K超大型ゲームを作れる。普通に使う上で支障が生まれることはない
【◎】・・・Unreal Engine 5で4K大型ゲームを作れる。基本的に問題が起こらない
【○】・・・Unreal Engine 5でFHD中型ゲームを作れる。超大型ゲームを作るのには向かない
【△】・・・Unreal Engine 5をFHDゲームを動かすことはできる。大型ゲームなどは作りにくい
《推奨スペック》
GPUの値段が「7万円以上」
VRAMが「8GB以上」
《最低スペック》
GPUの値段が「5万円程度」
VRAMが「6GB程度」
ちなみに、もっと詳しいGPUの性能について知りたい!という方は以下のページでかなり詳しいところまでGPUについて説明しています。ぜひご覧ください。
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メモリ
メモリは主に作業中のデータやプログラムを一時的に保存するためのものです。メモリは動画編集や画像編集でも多く使用し、Unreal Engine 5でもメモリをかなり使用します。
Windowsを起動している限りメモリは使われ続け、Unreal Engine 5を使用する場合はさらに上乗せされますし、わからないことを検索することも多いのでここでもさらにメモリを使います。
メモリが不足すると動作が遅くなりますので、少ないメモリの場合はストレスになります。
そのため、推奨は32GBのメモリは搭載することです。どうしても予算がない場合は16GBでも良いですが、動作にストレスを感じる可能性も高いです。
《推奨スペック》
メモリが「32GB以上」
《最低スペック》
メモリが「16GB」
ちなみに、もっと詳しいメモリーの性能について知りたい!という方は以下のページでかなり詳しいところまでメモリーについて説明しています。ぜひご覧ください。
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ストレージ
ストレージは主に長期間(数ヶ月、数年以上)データを保存する部分で、例えばWindowsやUnreal Engine 5をインストールする場所になります。
ストレージには主にHDD(ハードディスク)とSSDの2種類があり、HDDは大容量で安価なものの読み書き速度が遅く、SSDは小容量で高価ですが読み書き速度が速いという特徴があります。
Unreal Engine 5を使う場合は断然SSDをおすすめします。
また、ストレージのSSDには「NVMe」という規格があり、「NVMe」は超高速のためこちらを使うべきです。
そして、容量は1TB(1024GB)以上あることを推奨します。基本的にBTOパソコンの場合はここは自由に調節することができます。予算を削らなければならない場合は500GBでもかまいません。
加えて、ほかにゲームをたくさんやる予定がある場合は2TBにするとか、別のSSDやHDDを追加するなど、個人個人にあった微調節をするのがおすすめです。
《推奨スペック》
ストレージが「NVMe 1TB以上」
《最低スペック》
ストレージが「SSD 500GB」
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推奨スペックと最低スペックのまとめ
上記をまとめると、次のようになります。
おすすめのパソコン
ここでは、上記の推奨スペックを満たした中でおすすめできるPCをランキング形式で紹介します。
ここで覚悟をしてほしいのですが、Unreal Engine 5を快適に使えるPCは高いです。具体的には20万~30万円以上します。
それでも、Unreal Engine 5にはその価値があります。
購入するならBTO
基本的に、PCを購入する方法は主に3つあります。
1.メーカー品(値段高い、安心感、手軽)
2.BTO(値段割と安い、手軽)
3.自作(値段は安い、知識必要、サポート少なめ)
この中でも特におすすめしたいのは2のBTOです。
BTOとは「受注生産」という意味になります。
このBTOの良い点は、PCがあまり詳しくなくても、自分好みのPCにすることができる点です。
有名なBTOメーカーとしては以下のようなものがあります。
・ドスパラ
・パソコン工房
・ツクモ
・SEVEN
・フロンティア
・マウスコンピューター
・Lenovo
本ページで紹介しているPCはこの中のメーカーから厳選しています。
おすすめPCランキング
これらのPCは「推奨スペック」を満たした性能になります。
1位 パソコン工房「iiyama LEVEL-R776-147F-TLX」
一押しのPCはこれです。
Unreal Engine 5を動かすには十分な性能で、まず重くなることはありません。
ただ、メモリの量16GBですので、若干メモリが不足する可能性があります。そのため、カスタマイズで32GBにするのがおすすめです。
2位 SEVEN「ZEFT Z45AP」
2位のPCはこちら「ZEFT Z45AP」です。私が使っているPCの性能はこれくらいです。
Unreal Engine 5をするには申し分ない性能といえるでしょう。そのほかゲーム実況、配信をするにももってこいの性能です。
さらに黒を基調としたボディで、フロント・両サイド・トップは防音パネルを搭載しており、冷却のためのファンは標準で5つ搭載しています。
フロントパネルはマグネット式で、開けると中には通気口があり、通気性も確保できます。もちろん、フロントパネルを閉じた状態でもフロントの側面から通気可能です。
黒を基調とした部品となっているから統一感のあるものになっていて、デザイン性は抜群になっています。もちろん性能も抜群です。
3位 パソコン工房「iiyama SENSE-F079-LC147KF-VL1X」
3位のPCはこちらです。1位と2位よりも性能が上となってさらに快適度は高く、当然生成AIの学習も素早くできます。
筐体上部には持ち手が付いており、持ち運ぶときに意外と持つ場所が困ることがありますが、このケースの場合はありません。
カラーはシンプルにブラックとなり、正面はメッシュとなっているため少しファンが見えてクールです。
正面の端子にはUSB3.0とUSB2.0がそれぞれ2つ、ヘッドホンおよびマイク端子も搭載されているため、急にUSBのデータをパソコンに移したくなったときも楽に移行ができます。
4位 FRONTIER「FRGLB760/SG3」
4位はFRONTIERの「FRGLB760/SG3」です。
Unreal Engine 5を十分に動かせる上に、紹介する中でも特にデザイン性重視のPC。白または黒の見た目から選択可能。
超高性能なPC
Unreal Engine 5を最大限有効活用したい・・・他にもっとやってみたいこともある・・・!
そのような人にぴったりの超ハイスペックPCを紹介します。
いわゆる「化け物PC」というレベルです。
パソコン工房「iiyama LEVEL-R7X7-LCR79W-XL1X」
かなり高い性能のPCです。CPUは1世代前ではありますが、同世代の中ではGPUとともにトップクラスです。Unreal Engine 5は余裕で動かせます。さらに、配信や収録も同時にしながらでもビクともしません。
最新の生成AIを自分で動かしたい時にもサクサク使えます。
SEVEN「ZEFT Z30AM」
文字通り化け物PCです。
CPU、GPUはもちろん上位モデルのi9 14900KFとRTX 4090、なんとメモリは128GB。ストレージは2TB+2TBの合計4TB。さらに水冷。
デザイン性も紹介してきたPCの中ではトップです。
空気の流れ(エアフロー)が意識されており、通気性が抜群です。パソコンは熱くなりがち・・・と思う人もいるかもしれませんが、これは全然大丈夫です。
最低スペックでおすすめのPC
パソコン工房「iiyama LEVEL-M77M-134F-SAX」
こちらはパソコン工房で販売されている「iiyama LEVEL-M77M-134F-SAX」です。
Core i5-13400FとRTX 3060Tiが搭載されており、メモリは16GB、ストレージは控えめの500GBとなります。
とにかく安い値段でUnreal Engine 5を動かしてみたい方におすすめですが、規模の大きいゲームを作ろうとすると性能不足に陥る可能性があるので、その場合はもっと高いものをおすすめします。
まとめ
本ページでは「Unreal Engine 5」の推奨スペックと、それに適したおすすめPCを紹介しました。
このページが役に立てば幸いです。